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種からのメッセージ3~いのちをつかさどるミトコンドリアとF1品種-1~

いのちをつかさどるミトコンドリアとF1品種-1
 ミトコンドリアをご存知でしょうか?細菌(バクテリア)以外のあらゆる生物の細胞の中に存在している小器官です。人体を構成する60兆の細胞の中にあるミトコンドリアをすべて集めると、体重の一割を占めるといわれています。
 この膨大なミトコンドリアは、呼吸で取り込んだ酸素や、食べ物から摂取した糖類を材料にという生命エネルギーを生産する発電機の役目をしています。つまりミトコンドリアが作ったエネルギーによって、生物はみんな生かされているのです。
 ミトコンドリアは、エネルギーを生産する過程の中で、活性酸素も生成します。活性酸素は、体内に侵入した有害な細菌やウイルスを攻撃して死滅させるなど、免疫機能にとって重要な役割を果たしていますが、ミトコンドリアが老化して制御不能になると、自己の細胞や遺伝子を傷つけ、糖尿病やアルツハイマー病などの原因を作るといわれています。
 また代謝の過程で不要になった細胞に自死(アポトーシス)をもたらすのもミトコンドリアの重要な役目ですが、この機能が低下すると不要細胞を分解することができなくなり、癌細胞に変化させてしまう要因になります。ミトコンドリアを健康に保つのが長寿の秘訣といわれる由縁です。
 私たち人間が持っている数京のミトコンドリアは、そのすべてを母親だけから受け継いでいます。父親のミトコンドリアは、精子が運動するエネルギー源として、精子のしっぽの付け根に百個ほどあります。そのミトコンドリアはどれも父親のDNAを持っています。しかし精子のミトコンドリアは、受精直後に卵子の中で分解されてしまい父親のミトコンドリアDNAは子供には誰にも受け継がれません。人間だけでなく動物も植物も性を持つすべての高等生物は、母親から祖母、曾祖母と遡る母系からだけ体内すべてのミトコンドリアとそのDNAを受け継いでいます。もし母親のミトコンドリア遺伝子が異常になると、その子孫の遺伝子もすべて異常になります。
 ミトコンドリアの遺伝子が異常・欠損になると起こるのと言われているのが「無精子症」、若年性糖尿病、てんかん症や心筋症等です。動物の場合、無精子症の男性は子供を作れませんからその血筋はその男子で絶えます。しかし植物は多くが雌雄同体ですから、雄しべが異常で子供を作れなくても、雌しべが正常なら他の個体の花粉で子供を作れます。しかし生まれた子供はすべて母系遺伝によって雄しべが異常となります。
 このような男性機能を失った植物のことを「雄性不稔~ゆうせいふねん」(不稔とは不妊ことです)といいます。アメリカで発見された植物の「雄性不稔利用技術」は、いまやF1品種作りのためのグローバルスタンダード技術なのです。
 ちなみにスーパーで買った玉葱や人参、大根、白菜、キャベツ、ブロッコリーなどを、全部食べてしまわずにその一つを庭かプランターに植えてみて下さい。冬が過ぎ春が来ると、その野菜は花を咲かせます。その花を虫眼鏡で見ると、高い確率で雄しべのない花が観察できます。これらは生命力の根幹であるミトコンドリアの遺伝子が異常になって、男性機能を失った自分では子孫を作ることができない植物なのです。野菜だけでなく米やトウモロコシなどの穀類、砂糖の原料の甜菜(てんんさい)などさまざまな食品でミトコンドリア異常の雄性不稔F1品種が増え続けています。
文献・資料:埼玉県の飯能市で固定種のみを取り扱う野口種苗研究所の野口勲氏の著書及びホームページ
~YUZO MAKINOさんより~

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